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吉岡秀人医師(ジャパンハート代表)との再会

2011年6月19日 崎本 とし子 とし子からの手紙

ジャパンハート(NPO法人)は、「医療の届かないところに医療を届ける」ことを信念として国内外で活動している。

私は会員の一人でもある。カモン美容室で行われた講演会に参加した。東日本大震災の支援活動のことをリアルに聞きたい・・・と思っていた。

今、東日本大震災の支援で宮城の石巻市に支援に入っているという。3月16日から支援が続いている。14万人が流されたミャンマー津波の経験もあり、すぐに日本に戻って、支援活動に入った。

「地震後、当初は福島の南相馬市に入り、ゴーストタウンとなった町を通過したとき、日本は、私たちは間違っていたのではないか、ここに住んでいた人はどうなるんだろう・・と思った。財政規模と不似合いな女川町の病院をみて、安全を信じ込んできた今までを考え直さなくてはいけない。良心を取り戻さなくてはいけない・・・」と感じたという。

震災後の10日間は薬品が足りず、救命に困難が生じた。厚労省は、NGOなどの民間団体への薬品供給をするな!・・・と薬品メーカーに指示していた・・というのだ。

やむなく「日ごろのつながり」で奔走し、薬品を集めた・・・とのこと。緊急事態にあって、国は「民間」やNGOを信用しなかったというのだから驚いた。

吉岡医師は「私は日本の医師免許をもち、医療活動に当たっている。なのに・・・」と悔しさをにじませた。

「日本の多くの医師は勤務医である。勤務医はシステムを動かすことが難しい。開業医ではないので薬品を自由に動かせない。今、現地に医師を確保し、医療を再興するには行政が動く必要がある。自治体が動かないと市民病院を再興することは難しい。でも、それをしない限り、命が守れない。動かさなくてはならない・・・。」と話された。

「ところが、石巻市は石巻日赤に医療を丸投げしている。避難所は環境が悪い。あと6ヶ月は仮設住宅へ移れない人も多い。6ヵ月後はもう12月だ。このまま冬になれば、感染症が蔓延して多くの被害者がでることは目に見えている。しかし、丸投げされた医師の側では、そういう視点をもてない。・・・・そういう医療活動を経験していないからだ。」と語った。

6月18日付け赤旗新聞の報道では、石巻圏合同救護チームの石井医師(石巻日赤・46歳)の談話が掲載された。「救護チームの指揮は手探りだ・・・。300以上あった避難所のアセスメントに3月17日から取り組み、全国から駆けつけた立場の違う医療チームを一元的に統括し、20日から合同救護チームを発足させた。現在も14チームが活動している。今後、どう健康維持をし、その後恒常的な地元医療にどう引き継ぐかが課題。医師が被災死した自治体病院の再構築が必要。行政の力が必要です。」とのこと。

二人の医師の問題意識は共通していると思える。現場で、「なんとしても命を守りたい・・」と思う医療関係者の思いは必ず重なるのだ・・と思う。

小児医療の体制はすこぶる貧弱である。しかし、被災したこどもの支援はこれからが重要なときだ。ジャパンハートはそのことに問題意識をもっている。

最近、「スマイルプロジェクト」をはじめている。がんの闘病をするこどもたちに家族との時間をつくり、行きたいところへ旅行をできるように支援をする・・・という活動だ。看護師が付き添い支援をする。無料である。ジャパンハートならでは・・・とうれしい。

人はいのちに限りがある。長いか短いか・・はいろいろだが、できればいい思い出をたくさん作りたい。笑える楽しい時間をつくることは、「治療」でもある。病気そのものの治療ではないが、「生きる」ことの手助けになる。こういう活動を応援するためにも、会員を増やしたい・・と私は思う。

吉岡医師のモチベーションは、なににより保たれるのか・・・。

彼は言う「これだ!と思ったときの初動の力を自分で強化していくこと。それは、常に創造していくこと。新しいことをドンドン考え、行動に移していくこと。そのために、常に自分に何かを課している。自分をコントロールすることだ。・・・」

彼の夢は、「エイズそっとそばで見ていたい・・・。少しは自分も役に立てたのかな・・・と思えるのではないか・・」とのこと・・・。その話をするときのはにかんだ笑顔がやさしい。(手術のときは怒る・・・)

彼はまっすぐで、ぶれていない。とても常識的だ・・と思う。命と真摯に向き合っている人は、自分にも厳しく、真摯に生きている・・・とわたしは思う。

安住しないクリエイティブな生き方に大いに共感した講演会だった。

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