「完治証明書」を出せ?・・・仕事と治療の両立支援問題
2019年7月30日 崎本 とし子 とし子からの手紙
さて、がん対策推進計画での柱の一つが、仕事と治療の両立支援です。
がんという病気を正しく知っていれば、「がんになったら死ぬ」という間違った認識を持つ人はいません。しかし、治療しているときは仕事との両立が問題になります。数か月は休む場合も多くあり、休みをとって傷病手当をもらうことは珍しくありません。
大企業なら当たり前に保証されている「休業補償」ですが、中小企業になるとなかなか・・・です。20~30人の企業で一人休むと仕事の負担や保険料の負担が仲間や職場にかかります。その負担を負いかねる現状から「退職」を選択せざるを得ない場合が少なくないのです。
復職に際して「完治証明書」を出せ・・・と言われたらがん患者はどう思うでしょう。復職に際して必要なのは「仕事ができる体調になりました」という証明でよいと思います。どこの職場でも改善してほしいと思います。
かつて岡山市教育委員会も「完治したので・・・」という「復職届」の文面でした。しかし、現状を話をして理解していただき、改善された経験があります。数年前のことです。(その後変わった理由を知る人が今在籍しているかどうかはわかりませんが)
昨日がん診療連携協議会に参加した際、産業保健総合支援センターから、最近の事例として問題が指摘されました。医療関係者や患者にとっては常識のことがまだまだ産業界の常識になっていません。産業医がいる職場ばかりではありません。国の仕組みとして療養中の「保険料免除」の制度があるわけでもありません。中小企業支援として国が免除制度を作ることは企業にとっても人材を手放さなくて済む得策なのですが。復職届の改善や保険料免除の制度はぜひ実現したいし、県や市のがん対策として、この問題を発信してほしいと思います。